プロボクサーという職業を明かすとどうやってメシ食ってるのか聞かれることに最初は驚いた。これまで野村證券で働いてます、経営者をしています。「え、どうやってメシ食ってるの？」と聞かれたことは一度もなかった。でもたしかに目の前の相手をいくら倒したって稼ぐことはできない。プロボクサーの仕事って何だろう。おれが1番強いと証明すること？まあ人の数だけ正解はある。僕の答えは僕を観た人のハートを着火させること。「着火屋」それが僕の仕事。試合を観るのに3万円かかるなら観た人が明日からそれ以上力強く生きることができたならそれで良い。3万円使って飲みに行ったってそんな気持ちにはなれないことを僕は知ってる。プロアスリートにはそれができる。経営者が100万円払って試合を観てくれてハートが着火したなら、それで100万円以上その人の会社が盛り上がったらもう僕の勝ちだ。「あんたのハート着火したら幾らの値打ちあるの？」これは僕自身が経営者として色んな競技にスポンサーをしていた時に自分に問いかけたことだ。だから僕はお金を払うときにチケットが高いとかスポンサーが高いと思ったことはない。