2024-08-18 08:06
国立西洋美術館で開催されている「内藤コレクション 写本 いとも優雅なる中世の小宇宙」展へ。
13世紀から15世紀の中世欧州で、職人たちの手により膨大な時間をかけ、獣皮紙にインク、金により筆写、彩色され写本となった聖書や聖歌集など。その零葉の約150点で構成された展覧会。
A4にも満たないような小ささの獣皮紙にラテン語の小さな文字がびっしりと書き込まれ、その内容を象徴する一場面をミニアチュールとして描かれた零葉は、ゴシック美術そのものを圧縮し、小宇宙として出現させたような強い存在感をかもし出していました。
この零葉を制作したのは名も無き中世の職人たちですが、ジョットにも劣らない、優れた画力を発揮しているように思われました。
この時代以降、宗教改革が起こり、印刷技術の発達により聖書は教会内のエリート層からラテン語の教養を身につけた一部ブルジョアジーへ、さらにはドイツ語など日常言語に翻訳されて一般民衆へと広まっていくわけですが、欧州中世という強烈な個性を放った時代、それを担ったエリート層の昇華された美意識に触れられる美術展として秀逸であるという印象を持ちました。
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