2024-12-24 02:03
年末になるといつもなぜか子どもの頃の冬休みを思い出す。忙しい父がクリスマスあたりから年末年始だけはずっと家にいて、しょうもないことを一緒にやった。そんな記憶たちがたまに降ってくる。
割り箸と輪ゴムで本物みたいなピストルをたくさんつくって散らかして母に怒られた。レコードでピーナッツベンダーを聴きながら年賀状を書いた。小刀で鉛筆を無限に削った。父の思いつきで郵便受けを2人で黄色く塗ったら「趣味も精度も悪い」と母に怒られた。ご飯の上にバターと醤油とおかかを乗せてオーブンで焼く禁断の朝ごはんを「おかかが踊ってるでしょ」とほくほく食べた。パンの上にバターとひきわり納豆を乗せて焼いて食べてる父が羨ましくてつくってもらってたら「不気味ねぇ」と母に呆れられた。
父は若い頃大きな病気をしていて、一緒に外遊びはできない身体だった。冬の陽だまりに溶けてしまいそうなこまごました記憶だけしかない。ああそういえば、と思い出すと、家事をする手が1分くらい止まる。あの穏やかな時間の匂いが蘇ってくる気がして。父はわたしに何にも強要しなかった。ただそこにいてしょうもないことをやる仲間だった。そして母に一緒に怒られた。続