彼が帰る間際、はい、ってテーブルに小さな箱が置かれた。 青いリボンがかけられた灰色の箱で、右下の端に4°Cと小さな文字が刻まれている。 持ってみると想像していたより重く、その事実も相まって困惑した。 開けてみてもいい？と彼の了承を得て、箱を開けると、真ん中に4°Cと刻印された冷色のグラデーションが綺麗な楕円形のガラスが現れた。 (なるほど、ペーパーウェイトかな？重さの正体はこれか)と納得した。 綺麗なペーパーウェイトだね、ありがとうと伝えた すると彼は違うよ、それ蓋だよと笑って指摘した、開けてみて、と 言われるがままにペーパーウェイトだと思っていた蓋を開けると、 一つはシンプルなシルバーの輪、もう一つはシルバーベースの小さなクリアの石が連なった輪で、その二つの輪が連なった小振りのシルバーのネックレスが現れた。 4°Cのブランド自体は知っている、この時期に入るとオープンハートのネックレスでXで話題に上がるのを散見したことがあるからだ。 驚き固まってると「本当は当日渡したかった、でも平日だから。一年記念日だよ」と。 初めてだった、徐々に嬉しくなった。 大事にしよう、どちらも