資生堂ギャラリーで行われている渡辺志桜里の展覧会『宿/Shuku』を観に行く。能という古典的見立てを扱った作品と、皇居の生態系を見立てたオートポイエーシスシステム作品、空洞ができた外来魚の亡骸を並べ、天井から聞こえてくる音で奥行きを持たせながら接続する。 近年、土着・信仰・循環・定住による醸成と賓による変化をメインテーマとして扱う渡辺だが、これまでで最も国体を語るにおいて緊張感が持たれる場所での作品展示だったのではないか。また化粧は、日常の美しさだけでなく、催しでも重要な役割をになってきた。意識的か無意識か、日本を代表する化粧品を扱う企業で、面(オモテ)の概念が鎮座し続ける空間に、何かしらの意味を探してしまう。 ギャラリーから出ると少し通りが眩しく、銀座は海の外からの観光客でいっぱいだった。こうして今日も街は潤う。銀座ライオンを展開するサッポロホールディングスは、実証実験として109言語に対応できるインバウンド向けの情報サイトを年末まで公開しているらしい。2050年に人口が9000万人を切り、超売り手市場になったとき、若者の街も老人の街だろう。そのとき銀座はどうなってるのかなって。