仕事の視察もかね友人のバンドのライブを観るため大阪へやってきた。着いて早々雨の匂いでいっぱい、心斎橋はこの世の人だまり。友達の馴染みの店をハシゴし、深夜に適当に解散した。 次の日、友人の坂田と中津のカレー屋へ。植物にシンセをつないでいて、仕組み的には生命活動にともなって生まれる電位差を音にしているはずだが、音楽にも聞こえるし話しているようにも聞こえる。宇宙と交信するようなニュアンスすらあり、ジョー・ミークの曲が始まったっておかしくない。もちろんカレーはとてもおいしい。 千日前に来れば必ず訪れる純喫茶ではビング・クロスビーが歌う「サンタクロースがやってくる」が流れていた。持っていた本は、日本の林業について書かれている本。ここで日本の家屋建築には、セルトーでいうところの戦略的建築と戦術的建築があることを知る。 木のしなりを生かし、部分的に当てがい続けながら生きていく戦術的建築。住まれなくなった祖父母の家には、釘を使っていない木を組んだだけの階段がある。踏むとしなる音もまた、とても音楽的だったな。あの階段を保存できるように、ゆくゆくはどこかに２階建ての小屋を作らねばならない。本屋とか。