2025-01-17 05:18
(続き)
聞けば夕飯の支度をするのに、停電だからロウソクで灯りをともしてたらしい。その炎が暗闇でゆらめいて火事に見えただけだった。
地上に降りて集まってた人に説明すると皆さん苦笑。でもまぁ良かったやんと口々に話してたら、ベランダにおばさんが出てきた。
煩いとか迷惑とか叱られるのかと一瞬思ったら、おばちゃんは俺たちに手を振って叫んだ。
「心配してくれてありがとう!」
結果的にはお笑いで終わったのだけれど、見ず知らずの者たちが、見ず知らずの者のためにお互いに助け合う。そんな連帯感と妙な高揚感があの時には確かにあった。