2024-12-30 23:03
その際に重要だったのはジェンダーや先住民の視点だったと思う。貧困に苦しむシングルマザーたちが、もうたくさんだと声を上げたし、改憲議会の議長になったのは先住民の高齢の女性だった。それは、石丸や斎藤のような偽のヒーローを祭り上げるポピュリズムとは異なる。
スペインのポデモスやイタリアの5つ星運動、フランスの黄色いベスト運動などをみていて、新自由主義と国家主義の連携に対抗するには左派ポピュリズムしかないのかもしれないとシャンタル・ムフなど読んだこともあったが、チリで起きたことはそれとも違う可能性を感じさせてくれる。そして、その視点からみると、格差に苦しみつつ既存エリートに違和感を持つ人たちに訴求する日本のれいわ新選組のアプローチも、山本太郎をヒーロー視する左派ポピュリズムでありジェンダー的視点が薄いという限界を感じる。しかし日本でも「虎に翼」のヒットもあるし、漠然とした違和感や不満を抱えて石丸や斎藤を支持した人たちが、この社会のシステムを本質的に洞察し動き出す、そんなきっかけを作る可能性は、冷笑と諦めに覆われたこの列島にも少しは残されているのかもしれないと思えた。