2025-01-24 21:30
(昨日の続き)
妻の久美子が昨年の11月に逝ってしまってからは、親しく付き合っていた友だちたちの過去の死が、よりリアルに感じられてしようがない。例えばこの E の場合、顔を思い出そうとすると、棺に収まった彼女の顔がリアルに浮かぶ。葬儀にも行っていないのにだ。そんなわけでベッドに入っても寝付けない夜が何度もある。人の死は、愛する者を失って初めて分かるらしい。
E を知ったのは ”ロックマガジン” の阿木譲のクラブ “nu things” のイベントだった。彼女はジャズシンガーで “nu things” ではけっこうコンテンポラリーな歌声を聴かせていた。その時のピアニストの男がおもろかった。譜面台に冊子を乗せていたので当然楽譜かと思っていたが、演奏後に見せてくれたのはとてもハードでエロティクな猟奇的な写真集だった。彼はそんな写真を前にアンニュイな音を奏でた。E も引かれるように暗くアンニュイに歌ったのはもちろんだ。しかしジャズクラブで歌う時はスタンダードナンバーだった。ぼくはそんなコンサートのフライヤーを作って協力したことが何度かあった。
(つづく)