2025-01-26 05:09
これは、僕が大きな株を引き抜くだけの物語。
その日もいつもと同じような、平和で退屈な日になると思っていた。突如祖父の畑に現れた"ヤツ"によって全てが変わってしまった。
畑の隅に立つだけで、ソイツに吸い込まれそうな感覚になる。
【かぶ -SSランク-(災害級) 】
「ーは?こんな田舎にSS?Dすら珍しいんだぜ?何かの冗談だろ?」村人たちは口を揃えた。
「なあ、じいちゃん。これ、本当に食えるヤツなのか?」
僕が恐る恐る尋ねると、祖父は笑いながらこう答えた。
「……まあ、食べられるかどうかは、引っこ抜いてからのお楽しみじゃな」
いやいや、お楽しみどころじゃないだろ。引っこ抜けるのこれ?というか、これ株?え?本当に株なの?種いつ植えてた!?
そんなわけで、僕と“異形のかぶ”との戦いが始まった。いや、戦いっていうのは大げさかもしれない。
でも引き抜こうとするたびに起こる現象――召喚される(ちょっとかわいい)精霊や抜根を阻む敵たち――それらが僕の中の平和ボケした感覚を根こそぎ持っていったのは確かだ。
そう、これは僕と大きなかぶ、そしてちょっとした異世界の扉を開く物語。