非認可品種であるシャルドネを使っていながら、きちんとボルドー味なワインだからです。ボルドー味とは、とりもなおさず海洋性気候で大きな河川に沿った場所に畑が広がっているため、要するに「水辺の味」です。ボルドーでも内陸かつ標高がそれなりにあるエリアでは違うでしょ、とか個別論ではなく、総論としての話です。 水辺の味、つまり「ひんやり・しっとり」で、じわーんと滲む味。それだけならばナパのカーネロスだって同じ条件なのですが、注目すべきなのは土壌。 このワインのエチケットに描かれているのは牡蠣殻の化石。つまり石灰岩土壌なんですね。私はボルドーで牡蠣殻の化石を産出する土壌があるのを知りませんでした。お恥ずかしい。 同じ石灰岩土壌のシャルドネでも、大陸性気候のブルゴーニュとは大きく個性が異なります。良くボーヌの白に魚介類を提案されることがありますが、ソムリエに「本当に美味しいと思いますか?」と聞くと、「いや……でも定番ですから」と返されることがあります。もっと美味しさとは何か、に貪欲になっても良いのにな、と思いもするのです。