「すいません、ちょっとよろしいでしょうか」 その保護者の方の訪問は突然だった 塾に大学生の卒業生が遊びに来てくれていたがとにかく話を聞く 「第一志望の私立高校が不合格でした」 第二志望の高校から大学こそは有名大学に子供を進学させたい そんなお話だった 「うちの子は学力がないので総合型の話を聞きに来ました」 お母さんは落胆していた 励ましたがなんともお話をしづらい雰囲気だった 「すいません少しいいですか？」 遊びに来てくれていた大学生は遠慮がちに声をかけた 「僕も高校は第一志望不合格でした」 「でも第二志望の高校に行って本当に良かったと思っています」 彼は第二志望の高校で良き友達と出会い前向きな時間を過ごし中学の時から憧れていた大学に進学した 「進学する学校を楽しむことが憧れの大学に進む道でした」 「生意気言ってすいません」 保護者の方はしばらく無言だったが 「楽しむ、そうですね」 不合格は負けでも失敗でもない新しい道だ 日本には良い言葉がある 「ご縁」 良きご縁の中で楽しい高校生活を送ることが人を成長させ 人の力にもなれる 保護者の方は笑顔で塾を後にした