2025-01-30 09:03
東京の思い出その十四
近くに日赤病院があった。
母は患者でもないのに庭を散歩した。立派は木造の建物棟。コンクリートの大病院。刈込められた植木。
親子で歩けば見舞い客である。
病院ゆえか何やら見えないものが見えたとか動くとか…噂も耳にする。私に悪ガキたちは囁く。
人間の脳が裏にあるらしい。
探検に行こう!
包帯ぐるぐるおじさんを探しに行った事を誰かが話したのだろう
探検隊長に任命された。
スタンドバイミーの世界だ。
裏手と思われる場所に
壊れた家具や錆びたパーテーションがまとまって置いてある。ここしか私は知らない。
水が溜まった桶があり蓋が少しずれている。何か入っている?
噂の出所はこれだろうか?
誰が蓋を開ける?
棒を持っていた悪ガキがそっと開ける皆一斉に離れ、私は隊長として覗きにこんだ。布?丸めてあった。雨水が中に入り込んでいる。
その布を広げる勇気はなかった。
結局脳はわからず。
当たり前だ。そんなものあるわけが無い。母にこっぴどく怒られた。
大きな木が夜中に動くとも聞いた。
学校で誰もそんな噂聞いた事が無いと言う。
私に教えてくれた大人はだれだ?