2025-01-30 09:34
東京の思い出その十五
宮益坂の上に煌々と光仁丹ビルがあった。母は立派だねーと仰ぎ見る。
坂の下は駅前になり人が湧いてくるように思えた。時々母は駅前のビルに行く。ウクレレ漫談を見て、白黒のニュース専門映画をみる。ニュースは国際物もある。ハワイとかブラジルに日本人が開拓したとか。珍しい海外の景色とか政治の話しもあったようだ。TVはお金持ちは各家庭には広がりつつあるがまだまだ内容は大衆的なものであった。
ウクレレ漫談はあ〜やんなったゃったと言いながらな大人を笑わしている。舞台では他の芸人も出たようだが覚えていない。
確かビルの地下だった気がする。
一階にはケーキ屋がありホールが飾ってある。表面に絵が書いてあるようなケーキでよく見るデコレーションではなかった。綺麗だった。
おでこをガラスにつけて見ていたら
店員さんがガラスをふきだした。
隣では母もガラスにおでこをつけていた。手が出ないケーキに母もみとれていたのだ。あっち行っての合図のガラス拭きに母も気がつき、
会釈して離れた。
買ってくれたのはボーナスが入った社員だった。憧れたケーキの絵は
カットされどんな絵なのか分からなかった。