2025-03-05 20:44
瞬の祖父は山岳カメラマンで、瞬も幼い頃から漠然とカメラマンになることを夢見ていた。とは言ってもいわゆる「刷り込み」である。
たまたま撮った写真の構図がいいと、「さすがにオジイちゃん譲りだね!」と母親たち周囲が褒める。
そしてそのうち、その気になる。
その程度である。
だが高校卒業を間近にして、就職先も決まっていなかったので、祖父の元で本格的に写真の勉強をしたいと考えた。
ところが祖父の反応は意外なものだった。
「これからは写真家として食っていくことは大変だ。それより映像の技術や編集を学んだ方が、あらゆる選択肢が生まれる」
こうして瞬は高校卒業後、信州で映像会社を営む祖父の家で祖父母と暮らし、見習い社員として働くことになった。
驚くことに昭和初期生まれの祖父の予言は的中した。
YouTubeやVimeoを筆頭に様々な動画サイトが時代を席巻した。
祖父の会社で4年間修行を続けた後、3年ほどフリーランスで動画撮影と編集の仕事をしていたが、かなりの高収入を得ることができた。
そんな時、より見識を広めろという父の提案によって26歳の時に渡米し、3年契約でLAのPRAで仕事を始めたのだ。