凄い強度で記憶に残る場所があって、そこに居たのがまるで昨日の事のように感じられるけど、でも何か特別な出来事があったわけではなく、退屈な日常の一コマに過ぎない。なぜ其処が記憶に残っているのか全く分からないけど、人間の記憶のメカニズムには未だ謎が多いらしいので、そう云うものなのかも知れない。 自分にとってそんな場所の一つは井の頭線渋谷駅周辺に在った(今どうなのか知らない)カレー屋。駅ホームのガード下っぽい脇道で並びには山家と云う焼き鳥屋やライブハウスLIVE INNが在った辺り。うろ覚えだけどプレーンなカレーが一杯200円だったと思う。これに玉子入れたりコロッケ乗せたりのオプションがあったはず。1985年頃の話。 ボロアパートに住んでバイト暮らしの自分には安さだけが理由で度々行った。これ何日前に作ったんだろう？とか何が入ってるんだろう？と考え出すと食欲がなくなるので何も考えずに食べたけど、不思議と食べてお腹を壊した事はなかった。 ガチャガチャした狭い店内に肉体労働系おっさんがひしめく光景が、今でも生々しく思い出せる。