2025-02-20 10:16
「マリエ」千早茜
•そうなのだ、人は役割に流されて欲しいものや本当の気持ちを忘れていく。
•確かなのは、嫌悪や別離に至るまでもない小さな幻滅や諦めは生活のあちこちに散らばっていて、こうして離れるまで私はそれに目をつぶっていたということだ。
•決定権とお金を持ち合わせ好みも定まった四十前後の大人の一人暮らしって最高では、とため息まじりで評した年末の早希の顔がよぎった。
•「誰といても、決めてはいけないのだと思います」
「なにを」
「その人の幸も不幸も。それぞれで努力するしかない」
「結婚していても」