弱いフリは楽だった。 かわいそうって、構ってもらって 守ってもらえるから自走しなくて済む。 手取り足取り上げ膳据え膳で許された。 でも、庇護者がいる限り ずっと弱い存在として扱われて その枠の中でしか生きられないのが だんだん苦しくなっていった。 庇護者がふと、いなくなったとき 自力で歩けない自分だけが残るのは 怖すぎるって思った。 ヤドカリみたいに新しい庇護者を 探す選択肢もあったけど、 もう自力で歩くって決めた。 歳を重ねれば、中も外も変わる。 いつまでも可愛くてかわいそうな 自分ではいられなくなる日が来る。 自分をみくびらない。 わたしはそんな弱っちくない。 この足で歩いてく。