2025-02-27 21:01
大学生を卒業してすぐ、友人とモンゴルへ行った。地平線まで続く大地の中を、家畜たちと走り、天の川が広がる星空の下草原のゲルで寝た。
今思い出すのは、人間も人工物もほとんどない世界で、頭はとてもクリアになるという感覚だ。
たくさんの人間、便利なお店や大きなビル。そんなものに囲まれていると自分はどの方角へ行きたかったのか分からなくなる。
自分の価値は、容姿、財産や収入、仕事、子どもなど持っているもの一つ一つで評価され、順位がつけられ、並べられる。誰かがそれをするのではない。自分自身で、無意識のうちに。
学校でも会社でも家庭でもSNSでも、評価と順位の構造が当たり前のようにあって、私たちはその中で少しでも上へいこうともがき続けている。
日本は不幸だとか幸せだとか、議論するつもりはない。ただ、この場所で自分の幸せを見つけるのは、簡単なことではないということだ。
空っぽになりたい時は、空を見上げて雑音を切る。
どんな場所にいても、空はつながっている。私の命は、世界でひとつだけのもの。本当に私をしばるものなど、何ひとつないはずだと。