例の少年の、おはなし。 本日、一緒にお店に立ちました。 集合時間の5分前に到着。 "ちょっと緊張してます"とのこと。 なんと今日は、彼の姿を見たいと ご予約くださった方もおられました。 そのことを伝えると"もっと緊張してきました"と。 一通りの流れをお伝えし、後は実践。 慣れない言葉づかい、慣れない手付き、 それでも一生懸命に取り組む彼の姿が そこにありました。 表情が少し和らいできた夕刻、 彼のお母様がご来店。 教わったことをしっかり魅せようというような、 でもどこか気恥ずかしいような、 先程までとはまた違う表情で、接客を。 その間、彼の姿を見つめるお母様の顔は 多少の心配を持つ反面、とても優しく温かく、 なんだかこの空間に居させていただけて、 こんな優しい場面に遭遇できることが とても嬉しかった僕でした。 日暮れも近く帰る頃、 僕は彼に珈琲豆を贈り、 "今日はありがとう、助かりました。 良かったらミルで挽いて、飲んでね"と。 今日一の笑顔をくれました。 彼が今日のことを想い出し、 渡したお豆の味を愉しんでいただけるのなら、 僕は珈琲屋冥利に尽きます。