2025-03-05 08:33
大動脈解離と心タンポナーデ 13
抜糸のあとの体は、肋骨が浮き出て肋骨と肋骨の間は紫色になっていた。ドレーンの跡は、3ヵ所ある。その時、気が着いたのだが両腕の内側の手首から肘までも紫色になっていた。筋肉質で胸筋が盛り腹筋背筋も割れていた以前の体ではなかった。そういえば、倒れるひと月程前から体重が驚く程増えたのは浮腫んでいたのだな、筋肉の欠片もない体と生きていくんだ、と思った。
あの病棟で入院していた人は、みんな手術後にきっとあれが三途川?というものを見てそこで亡くなった家族に追い帰されたと言っていた。
何の取り柄もないどこにでもいる私が、助かって良かったのか?という気持ちと、6リットルもの輸血をいただいた事を無駄にしては失礼だという気持ちが、交互に浮かんでは消えた。
自宅に着いて、シートを起こして貰う。息子が複数人いるのだが、みんないて私の体を車からそっと降ろしてくれる。ん?歩けない。両側から体を支えられて家に入る。
家族が集まる部屋とトイレの中間地点の部屋に私の布団が用意されている。抱えられるようにそのまま横になる。少し麦茶を飲み、少し安堵していつの間にか眠っていた。続く