2025-03-10 11:40
【寺西拓人は幼馴染み4】
進級式の様子は、両親がビデオカメラで撮影してたようだ。
お父さんがビデオテープを巻き戻して、家族で鑑賞会をした。
その中に入園してきた年少組も映っていた。
園庭で会った男の子はシジミ組だと言っていた。先生に一人ずつ名前を呼ばれて返事をする中に、恥ずかしそうにか細い声で返事をするあの男の子がいた。
てらにしたくと君。とっても可愛くて、まだ5歳の私の母性をくすぐってきた。
ちなみに同じシジミ組に、立ち漕ぎ少年ふうま君もいた。
それから数日して、みんなが降園する時間にまたお母さんのお喋りタイムを園庭で待っていると、あの時のたくと君がいた。
「なにしてるの?」
地面をしゃかんで覗き込むたくと君の隣にしゃがむと、たくと君は水溜りを覗き込んでいるようだった。
「昨日の雨で水溜りがいっぱいできたんだ」
水面越しに私の目を見て笑うたくと君はやっぱり可愛かった。
たまに園内で見かける事はあったけど、学年が違うせいで話す機会はそこまで多くない。
「おなまえは?」
と聞くと、
「たくとです」
とはにかんだ。やっぱりあのビデオに映ったたくと君で合ってたみたいだ。