それは28歳のゴールデンウィークだった。 大学を出たばかりの22歳の時に、本屋さんで初めて著書を手に取ってからずっとファンだった斎藤一人さん。 こんなにすぐ会えるなんて。 私はたぶん舞い上がっていた。 一人さんは、メディアに一切顔出しをしたことがない。 過去に一度だけ、テレビの取材を断りきれずに出たことがあるらしいのだが、その時は天狗のお面を被って出たという。笑 一人さんは、決して写真を撮らせない。インターネットで一人さんを調べると、たくさんの知らないおじさんの写真が出てくる。私は顔を知っているから確実にわかる。あれは全て偽物だ。たまに出てくる本物の写真は、必ず後ろ姿なのだ。 そんな斎藤一人さんの顔を、あの日、私は初めて見た。