2025-03-11 20:36
ある日の放課後、校内の図書館前でジェシカが背が高く、肌の色が浅黒い男性と話しているのを目にした。
ジェシカの身長はエマと同じ160くらいだから、その青年は190前後と思われた。
ジェシカはエマの存在に気がついて、笑顔で「エマ! ちょうど良かった。こっちに来て!」と叫んだ。
「エマ! こちらはトニー。トニー、彼女がエマ」と双方を紹介した。
そして続けた。
「トニーはドミニカからの留学生でバレー部。日本の文化にとても興味があるんだって!」
ジェシカは”Japanese culture”と言う時に両手の指で Air quotesと呼ばれるジェスチャーを示し、エマに素早くウィンクして去って行った。
残された二人はしばし沈黙に包まれた。
沈黙を破ったのはトニーの方だった。
「アントニオです。お会いできて嬉しい。トニーって呼んで下さい」
トニーはエマと目線を合わせようと、少し前かがみになりながら丁寧に自己紹介した。
「私はエマリ。エマって呼んで。私も良かった…ところで日本の何に興味があるの?」
トニーは少年っぽさが残る笑顔で言った。
「もちろんアニメです。幼い頃からポケモンが好きでした!」