2025-03-12 18:11
古典派の時代、金管楽器のバルブはなかったので、(移動ドで)ドソドミソ(シ♭)ドレミ(ファ)ソ…の音しか出ませんでした。そのため、ホルンは途中の管を差し替えて、曲の調に合わせたものを用いました。例えば変ホ長調ならEsBEsGB(Des)EsFG(As)B…の音が出る楽器を使ったのです。そして、どの調の楽器を使っても、実音ではなくハ長調で楽譜を書いていました。
トランペットはやや特殊な場面でしか使わない楽器でホルンのように様々な調に対応することは出来ませんでしたが、同じように管の種類によらずハ長調で記譜していました。
例えばニ長調の曲ではホルン、トランペットともにin Dの管を用い、ティンパニーはA-Dと調律され…みんなでDADと音を出す時に、楽譜は全てCGCと書かれていたのです。ハ長調に移調された楽譜なので調号はありません。ロマン派の初期まではこのような記譜法が続いていました。
金管楽器にバルブが付いて半音階の演奏が可能になると調ごとに管を変える必要がなくなり、ホルンはin Fが標準になりました。ヘ長調以外の曲では臨時記号が出てくるので、最初から調号を付けるようになりました。