2025-03-12 21:09
「ジェス! いったいどういうこと? 緊張してドキドキしちゃった」
部屋に帰ってエマはシャワールームから出たばかりのジェシカに詰め寄った。
「だってずっとトニーからエマのことを紹介して欲しいって言われていたの。彼、とてもチャーミングでしょ?」
ジェシカは髪をタオルで包みながら応える。
「ウン。日本のアニメが好きなんだって。あんなに背が高くて大きいのにポケモンなんて可愛い!」
「ほらね。エマもぜったいにトニーのことが気に入るって思ってた」
少しづつエマにも試合出場のチャンスが増え、3年生になってからはスタメンも勝ち取った。
ポジションはディフェンスで、自軍ゴール前で何度もチームの危機を救った。
ある試合帰りのバスの中でラジオからバックストリート・ボーイズの「I Want It That Way」が流れてきてた。
この曲はエマの父も大好きだった曲だ。
エマは最初は小さな声で口ずさんでいたが、コーラス部分の♪Tell me why♪のパートになるとバスの中は大合唱となった。
試合後に皆でピザを食べに行き、いつもチームメイトの食欲には驚かされたが、それでもその頃がもっとも充実していた。