【コメ価格高騰を生んだ日本の過剰農業支援】 　農業の貿易政策が食べ物の安定供給にどんな影響を与えるか調べた研究論文がある（欧州委員会 『農業貿易政策と食糧安全保障：因果関係はあるのか？』2014年9月）。農業への支援が過剰になると、かえって食べ物の供給が減ったり、価格が上がったりすることがわかった。 　2023年、三菱総合研究所『日本の農業生産を維持する国民負担の水準は？』のレポートには、「どの指標でもOECD平均と比較して1.6倍から2.3倍であり、相対的に高めというのが日本の保護水準の現状」とある。2014年、農業への支援を測るNAC（名目支援係数）という指標では、日本のNACは 1.2を超えた状態がずっと続いている。日本はスイスやノルウェー、韓国と並び、特に農業支援が大きい国に分類される。農業への過剰支援にはデメリットが多い。 〈1〉食べ物の供給が減る 競争しなくてもやれる、低効率生産が続く 〈2〉食べ物の値段が高くなる 〈3〉市場がゆがむ 〈4〉価格が不安定になる 支援が行き過ぎると、農産物の価格が極端に 変動しやすくなる（NACが1.4を超えると）