2025-03-17 11:00
『4-1. 治療の行き着く先』
「絶対に、金輪際やりません」
夫は、土下座で罪を告白した日に、力強く誓った。
「依存症専門クリニックに通う」
——それは、夫自身が決めたことだった。
月に1〜2回。忙しければ2〜3ヶ月に1回でもいい。
本人が選んだ道だった。
事件から数ヶ月後、就職先が決まった頃、
「1割負担の申請が通った!」と証明書を持ち帰った。
これで経済的なハードルはなくなった。
往復3時間の距離も、あの時の決意が本物なら、些細な問題だった。
「これから本格的に通うんだ」
私は疑いもしなかった。
…ところが。
証明書をもらった後、一度も行くことはなかった。
全部でわずか3〜4回で終了。
「次いつ行くの?」と軽く聞いたことはあったが、
私は特に気にしなかった。
本人が決めたことなら、本人が続けるべき。
「行っても行かなくても、ご自由にどうぞ」
そう思っていた。
だからこそ、私は気づかなかった。
夫が通わなくなったのは、あの書類が届いた直後だった。
【不起訴処分通知書】
更生の誓いは、あの日を境に、不起訴とともに、静かに消えていた。
…つづく🔥