開店早々、品のある紳士がドアから顔を出すが、"Hello"とだけ言って顔を引っ込めた。 残念だけどご希望の店とは違ったんだろうと思っていたら、15分ほど後に奥様を連れてご来店。 椅子に腰掛けておもむろにタバコ大の箱をポケットから取り出す。〈見かけないタバコ、海外の物かな〉と思いつつ、〈ごめんなさい、禁煙です〉と言おうとしたところに、 「トランプしてもいい？」 って訊いてきたので、 「どうぞどうぞ、楽しんで。」 と促す。タバコじゃなくてトランプの箱だった(笑) ２人は静かに小声で話しながら２時間ほど興じた。ホテルの部屋でするよりお酒飲みながらトランプしたかったかったのだろう。 紳士は〈柚子マルガリータ〉×３、お二人の言葉はイギリス英語のようだったが奥様は〈ウォッカマティーニ〉×２。一般にヨーロッパで〈マティーニ〉といえばジンマティーニ、アメリカだと〈ウォッカマティーニだと思うが、もちろん個人の好みもある。 「どこの国から来たんですか？」って答え合わせはしなかった。お二人トランプに集中して興じてらしたから。