2025-03-18 09:31
③ 乾杯の後、
「ぴちぴちの男子が住んでるんだなぁって、いつもここを通りながら思ってた?」
と訊くと、彼女は口に含んだワインを噴出すような仕草をして、
「まさか。でも今夜ボトルをラッパ飲みしてる横顔はそこそこよね。」
「で、なんで夜中にワインボトル持ち歩いてるの?」
「友達んちから勝手に持ってきたの。女の子ばかりで飲んでたんだけど、いろいろ言われて居心地悪くなってね、気づいたらボトルを持って飛び出してたわ。」
「ふーん」と僕がまた外の桜を見やりながら相槌を打つと、
「何をいろいろ言われたとか訊かないのね?」と彼女がちょっと不満げに言った。
「名前も知らない初対面の人にあまり込みいったことを尋ねるのは無作法かと思って。」
「あ、そっか」とそこで互いの通称を名乗りあった。↓