⑥ その夜以降、彼女は一度も姿を見せず、窓の下の通りでも見かけることもなかった。 そして僕は次の春にはもう別のところに住んでいた。公園の木々が色づくころ、一度だけ代々木上原の改札口ですれ違ったような気がして思わず振り返ったら目が合った。 しかしその姿はすぐに夕方の人波にかき消されていった。 --おわり--