アーティストの中には、自分の作品を販売することに対して、一種の罪悪感を感じたり、あるいは商業的に成功しなくてはならない、というプレッシャーから自分の表現ができなくなるという人がいる。 そもそも、商業的な要素とアートの自己表現は相容れないものではない、そこを認識してほしいと私は思う。 例えば、作品を鑑賞したとある人が、とてつもない感動をそこから受けた場合、願わくば、その作品を手に入れたいと思うのは当然の成り行きではないだろうか。作品の対価としてお金がそこに介在する、ただそれだけのことである。そうやって素晴らしい作品が世の中に流通していくことことで、今の時代の文化を作り出し、社会を映す鏡として評価され、ひいてはそれが美術の歴史として残っていくのである。 商業的に成功を願うばかりに自己を見失いそうだと思うならば、社会の中で自分に課されている役割について考えてみてほしい。作品制作こそが自分の歩む道と思うならば、言い換えれば、それは、多くの人々の精神を潤すことが、自分自身に与えられた使命である、それにただ邁進すればいい。商業的な成果は人々への貢献度で決まってくるのだ、と考えていてほしい。